バンライフ?流行りそうだから先回りして否定する その2

前頁からの続きです。ここからはちょっと重たい話題となりますよ。

バンで高速長距離となると、事故も怖いですよね

バンは事故の時人間から突っ込む

バン、とりわけボンネットの無いキャブオーバ型のバンで一番怖いのは事故ですよね。
キャブオーバはどうしても人間の身体がフロントタイヤより前に来る。つまり衝突事故時にいきなり人間から突っ込むワケです。ボンネットがあればまずエンジンルームが潰れて、そこからキャビン(キャブ)ですが、いきなりキャビンが潰れるわけです。
長距離乗るとなると高速も走るでしょうから、万が一の事故の衝突時の衝撃もデカくなります。その辺りの怖さも考慮すべき点かなとか思いますね。まあこれはトラックベースのキャンピングカーとかも一緒ですけどね。

90年代末に衝突安全基準が厳しくなって、軽トラとかがフロントタイヤを人間より前に設置したんですね。しかしユーザーから小回りが効かないとかクレームが出たらしく、結局今売っている軽トラはまた人間のお尻の下にタイヤは戻ってしまいました。まあ、使う方は万が一の事故の事なんて考えませんもんね。
まあそれでも昔の軽トラと違いある程度の空間は確保されてますが、高速道路でガチャーンしたらそんなのなんて気休め程度でしょうね…。
どうしても貨物車は安全性より仕事の効率を優先しがちですし、そもそも1t以下のバンなんて地元の配達業務が主な使い方だろうし高速長距離走行なんてのはそこまで考慮されてないでしょうから、その辺も頭にいれるべきポイントかもしれませんね。燃費も悪いですしね(笑)

バンはFRなので意図せずドリフトタコ踊り~

あとは、バンとかトラックってほぼFRか4WDですよ。で、今の乗用車はほとんどFF。
FRは文字通り後輪駆動なので、車を後ろのタイヤが押して走るわけです。前で操舵、後で駆動なんで、慣れていれば素直な挙動で運転しやすいのですが、今の方々はFFしか乗った事無いって方がほとんどでしょう。そこに問題があるのです。
バンってのは荷車、貨物車です。750kgとか1250kgとかの荷物を積んで走れるようになっています。つまり足回りはカチカチに固められているんですね。重さに耐えられるようにバネが硬いのです。弊害として路面にタイヤが追従しない、グリップ力が悪いんです。
そんな車を、バンライフとか言って車中泊仕様にしたところで、せいぜい架装の重さなんて100kgくらいなもんでしょう。その程度の積載量で、雨の日にハイスピードで交差点を曲がったりなんかしたら…。いや、ハイスピードじゃなくても普通に晴れている日の感覚で雨天に右左折なんかしたら…。想像できました?

今は下火となりましたが、ドリフト走行ってのが流行りましたね。あれ、ほぼ、10割と言っても良いほどFR車です。FF車でのドリフトは相当難しく、Fドリなんて言われて特別扱いされてるレベル。ドリフト走行は基本FR車なのです。つまり意図的に滑らせやすい車なんですから、意図せずとも滑りやすいわけです。

これFR車がメインだった大昔は常識的な話で、現に雨の日にスピンしたって方は沢山おり、私自身も気を付けろと昔言われたんですが、FF車が全盛となった今ではおそらくこういった注意をされる事は無いのでは?下に詳細書きますが、こういった「車についてのアレコレの伝承」は若い方にはされなくなりつつありますし。

現に私も今乗ってる27年前のワゴン車はFRでして、高速のICでスピードの出し過ぎでケツ振ったり、雨の交差点で普通に走っててもケツ振ったり、何度も「ケツが出る」状態に出くわしてます。もう慣れるとハンドルは流れるにまかせ、ブレーキは踏まずアクセルだけで抑え込めるようになりますが、それでも怖いです。まあそうなった時はブレーキ踏んだ時点でスピン確定なんですが。速度が低くて広くて他に車もいなければスピンさせちゃった方が安全ではあるんですけどね、そんな状況日本の道路上ではありえないwww
てか何が怖いってスピンしてぶつかる事だけじゃないんですよ。スピンを回避してもグリップが戻った瞬間に逆ハンが戻ってなくて、滑ったのと逆方向にまた滑るのが一番怖い。昔180SXという、ドリフト走行では定番となっているスポーツカーに乗っていた時、バイパスで追い越しかけた瞬間にケツを振り、意図せずドリフト用語で言う所の直ドリ3発振りっ返しをやってしまい、肝を冷やしまくったものです。まあそんなカッコいい状態ではなく、実際はこれもドリフト用語の「タコ踊り」って言った方が正解なんですが(笑)
40になった今はもう運転の楽しさとか爽快感より怖さの方が勝り、ホント慎重に運転しています。そう、若いとどうしても運転も大胆で無茶になるんです。今の若い子はそんな事ないか(笑)

もし可能であれば、クローズドな所で、そこそこ馬力のあるFR車で、ハンドル切りながらアクセル踏むとどうなるかって感覚を体験すると良いと思います。ドリフト走行しろって事でなく、緊急時に車がどういう挙動をするのか体感しとくだけでも違うかなと思いますね。まあ、今どき馬力のあるFR車なんか乗ってる人を見つける事自体が至難の業かもしれませんが…(笑)

これらが怖ければ、FF車のバン、つまり3・5ナンバーのミニバンで車中泊仕様を作るのが良いでしょうね。ノアとかセレナとか。
バンのように作り込むには後部座席とか諸々が邪魔で、シート外しちゃうと違法改造になるんでまた違った面倒さはありますけどね。

こんな事故の怖さを、27年も前の車に乗ってる人間に言われたくありませんね(笑)まあ、ひとつの意見としてね。

背の高い車は横風注意!

バンは乗用車と違い基本的に背が高いです。室内高が広いので一見良い事に見えますが、背が高いと言う事は重心が高い。つまり安定性は悪いわけです。
まあ、バネットだのハイエースだのくらいならそこまで怖くはないでしょうが、キャンピングカーレベルになると結構横転事故が起きてるんですよね。
アクアラインで通行止寸前の風の強い日にバンで走ると、その恐怖が分かります。ホントスピード出せませんよ。シャコタン改造車なら同じ強風のアクアラインを走っても普通に100キロ出せるのに、バンだと怖くて40キロも出せません。それくらい背の高い車は横の力に弱いんです。もし100キロで走っている時に突風が吹いたら…。

有名なキャンピングカーの事故映像を貼っておきます。


私、これ見た時あまりに楽しそうな事故映像に笑いが止まりませんでしたが、笑いごとじゃないですホントこうなる時っていきなりなんですよね。
ブレーキではなくハンドルで立て直そうとし、立て直せなくてタコ踊りして横転する様子など、結構見ていて勉強になります。実際こんな車でこうなったら私も立て直せません。
ちなみにこの方々、幸い全員軽いケガで済んだようでそのまま旅行を継続されたとか(笑)

タコ踊りと言ったついでに、上記で書いたようなドリフト状態になった時も、背の低い車ならスピンして終わりでも、背の高い車だとそのままコテンと横転する可能性も高いわけで、より注意が必要です。

車の改造、趣味文化の断絶とバンライフへの影響

この前キャンピングカー乗りの対談みたいなの見てたら、セルフでガソリン入れた時と、フルサービスの店でガソリン入れた時のガソリンメーターの落ち方や航続距離が違うって話してて、フルサービスの店だと燃料キャップギリギリまで入れてくれるからって最近気づいた!みたいな感じで盛り上がってたんですが、私それ常識だと思ってましたがやはり知らない方は知らないんですね。てかノズルが止まったらちょっと抜いてを繰り返してギリギリまで入れるの、みんなやってると思ってましたよ…。車体ゆすってエア抜いてさらに入れたりなんかして、やりすぎて溢れたりw

なんか、車趣味というか車文化ってのが、私たち昭和生まれは上の世代から教わってきてて、まあ大げさに言うと「車文化の世代間の分断」てのは無かったように思うんですが、今の車好きの若い子たちって上の世代からの話とか多分聞けてないんですよね。もう親世代が車に興味無いし、周囲に車をイジってる人もいない。ネットで情報収集しか無いとなると、まあそうなっちゃうよなって感じですが。当該の対談の方は若い方では無かったですが(笑)。

走り屋系の動画とか見てても、結構イジったドリ車に乗ってるユーチューバーが、SSRのホイールを知らなかったんですよ。いや車好きでスピードスター(SSR、SPEED STAR RACINGの略)とかロンシャンなんて知らない人いないだろってのが私の感覚ですが、知らないんですよ。結構なカスタムしたドリ車乗ってても…。当時はドリフトしてるシルビアや180とか、多分捨てられた80年代のヤン車から取ってきたような深リムSSR、結構履いてたぞ?って思うんですが。

戦前のダットサンとかを愛好してたような方々を皮切りに、60年代のカミナリ族、街道レーサー、そこから暴走族、グラチャンを通って90年代の大黒PAに集まってたようないわゆる「お祭り系」の車文化や、同じく60年代から脈々と続く走り屋の系譜。そうでなくても車を買ったらハンドルウッドにしてシフトノブ水中花にしてアルミホイールに変えてなんていう、普通の人でもやってたようなドレスアップ、これが2000年頃でぷっつり途絶え、一部の熱狂的なカーキチだけが細々と守ってるようになるんですよね。2000年代以降は旧車會が流行り、ワイルドスピードの逆輸入みたいなスポコンやラグジーも静かなブームになり、高速有鉛系の四輪旧車も静かなブームになりましたが、あれもブームの中心は中年世代だったし、もう下火ですし(笑)

今見かける改造車ってのは、職人さんのオシャレなハイエースとか、軽バンのオフロード仕様とかのライトカスタム。走り屋とかVIPとか、その他カスタムカー全般、ほんと消えましたよね。せいぜいインプレッサとか86のライトチューンを見かける程度。あとほんとときたまミニバンをいじったやつ。若い子はあまりいませんね(笑)
あちこち改造車が走ってて、車買ったらとりあえずシャコタンにしてホイール替えますか、ってのが常識だった90年代とは別世界です。ガッツリいじってて「これ車検通るの?」ってレベルのはホントイベントとか行かないと見れなくなりました。

本当に’00年代あたりで、車趣味の知識伝承の分断が起きてる気がするんです。エコカーだのなんだので電子制御化がすすみ、やたらと素人が改造できなくなったのも影響あると思いますが。まあ最近の車、改造したとこでカッコよくもねぇし(笑)
男の子がMTでなくAT限定で免許取り始めた時期とも重なりますね。「MT免許じゃないとカッコ悪い」という価値観が消えた時代。良いか悪いかは別として。

以前テレビで、柏市だかの消防の方のお話で、今の若い隊員は消防車を運転できないから、教習所で消防車の教習をしてるとやってました。その上官の方、年齢は私世代でしたが、「私たちの若い頃は車の運転が上手いというのが一種のステイタスだった。今の若い子にはその感覚が無い。なので運転出来ない。まず教習しないといけない。」との事でした。現にウチの市内の教習所でも、消防のトラックがよくコース走ってるんですよ。あれもそうなのかなぁ、と思ってます。

長くなりましたが、こうして車に関するあれこれの知識、経験が下の世代に伝承されなくなって10年以上?若い子達も当然車なんかに興味ないから大人になるまで知りもしない、それで困りもしなかった。
ところがこの「バンライフ」とやらがブームになって、興味を持つ。バンを買って車中泊したい!となる。バンを買う。さてどうしよう…。え?荷台にベッド作りつけると車検通らないの?え?8ナンバーだと任意保険入れてくれないの?てかその前に4ナンバーとか8ナンバーとか貨物登録とか何だよそれ?え?20代だと任意保険こんなに高いの?…。オイル交換?なにそれ?になっちゃいません?軽自動車だから軽油入れちゃう人が続出してる世の中ですよ?(笑)

で、流行りすぎると当然出て来るキラキラしたおばかさん達が、任意保険とか別にいいしょーwとか、車検?関係ないっしょーwになって事故起こしたり陸事に迷惑かけて規制が増えたりするんじゃないかと。考え過ぎですかね(笑)

荷台のベッドの作り方とか、オシャレなキャンプギアの紹介なんかより、まず車についての基本から教えてくれる動画、絶対必要な気がしますよ!

まあガッツリ嫌味は言ったけれど…

さあいつものテンションでバンライフについて色々けちょんけちょんに言いましたけどね、ホント、問題も起こらずブームになってこのシーンが盛り上がれば、私自身はわりと嬉しいんですよ。もうどんな形にせよ、車に関する事が流行るってのはここ十数年見た事無いんで。

日本って世界有数の自動車大国なのに、ちょっと古くなったからって車に増税する国なんです。同じ自動車大国のアメリカやドイツは旧車には文化的価値があると優遇されるんですよ。そして日本は改造車文化大国でもあったのに、昔から改造車ってだけで眉を顰められてきた歴史もあり(まあそれは改造車乗りがアウトローばかりだったのが悪いんですが)。90年代に改造車に関する規制が大幅に改定されましたが、結局アメリカの外圧が要因だったらしいですし。

アメリカの車好きには今や「BOSOZOKU(暴走族)」とか「KANJO RACER(環状族)」なんて言葉が通じるんですよ(笑)
世界でも胸を張れる名実ともに自動車大国なのに、なんでこうなってしまったの…(笑)

このところ海外では日本の旧車がブームで、90年代くらいまでの人気車種は軒並みアメリカへと輸出されてしまっています。70年代の旧車なんて、当時それら車に憧れてた退職した金持ち団塊世代とアメリカ人が我先にと漁った結果、例えばハコスカと言われる日産スカイラインなんて、2000年頃は50万出せば良い状態のが買えたのが、今や300万を超える額に。希少なGT-Rなんて当時300万でプレミア価格だったのに今や1000万以上!

一方で、今の若者は車に興味も無い、興味あった所で高すぎて買えない。年配者は昔のようにテンションの上がるような車が無いから欲しい車も無い。結果売れるのは利便性だけを追求した軽とミニバンとプリウスという、車ってよりもはや「白物家電」。そんな状況下で、どんな形でも自動車文化が盛り上がるのは私は嬉しいです。

車そのものでなく、ライフスタイルと絡めての車文化ができつつあるのもまた2020年代っぽくて良いじゃないですか。これからは生活を豊かに生きる時代ですよ。私自身バンライフとかは「マトモにやるなら」大賛成です。ただ、ねぇ…(笑)。私のブログを見てらっしゃる方などピンと来るでしょうが、この手には常に「キラキラ連中」が入り込んで結果も出さずにキラキラキラキラするのが常なんですよ。最近はキラキラ連中は、日本が物質から精神へと豊かになる時代に咲く、一時の徒花じゃないかとすら思ってるんですが、まあゲストハウス業界のキラキラは別にキラついた所で直接死人が出るわけじゃないですから、極論すればほっといて良いんですが、こと車関係となるとちょっとした不注意でダイレクトに死にますからねぇ。キラキラも良いけど真剣にやってもらいたいなと思うわけですわ。じゃないと、私ら従前からの車好きにもとばっちりがくるんでね!これ以上規制規制となりたくないんですよ!とまあいつもの調子で色々小言言ったところで終わりたいと思います。

結局最後チラチラとゲストハウス系キラキラをディスって終わると言う…(笑)

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『バンライフ?流行りそうだから先回りして否定する その2』へのコメント

  1. 名前:マサ 投稿日:2020/10/11(日) 04:11:15 ID:d08406035 返信

    解る〜!(笑)

    • 名前:TateyamaWheelsGuesthouseヤシロ 投稿日:2020/10/12(月) 22:51:11 ID:443bf480e 返信

      ありがとうございます!
      嫌味ったらしく書きましたが、面白い車とかスタイルが出てきたらいいなとは思ってます!