昭和の価値観の氷河期世代が今どきなゲストハウス開業で感じた事

館山ウィールズゲストハウス宿主は氷河期世代ど真ん中です

私は昭和55年生まれ、今年(平成30年)で38歳になりました。バブル崩壊後の不景気による所謂「就職氷河期」(1993年~2005年)に社会に放り出された世代ですね。

私も平成10年(1998年)に高校を卒業し進学しますが、勉強が苦手ですぐ退学し、翌1999年から就職活動を始めるも全く仕事が無い、という時代を経験していますから、正に氷河期世代ど真ん中なワケです。1999年なんて、有効求人倍率0.48倍ですよ?何の取り柄もない高卒プー太郎1年間ブランク有がどう就職しろと(笑)。


20歳頃の宿主と当時の愛車日産サニートラック
2桁の88ナンバーが時代を物語ります。

結局親戚の店でのバイトでしのぎ、その後専門学校へ行き直し、手に職を付け37歳まで働きましたが、体を壊し退職。その後は特に夢を追い求めたというワケでもなく、何となく面白そうだから、といっただけの理由で37歳でゲストハウスオーナーになり今に至ります。

ゲストハウスに来られる氷河期世代のお客様の特徴

当ゲストハウスも開業して7カ月経とうとしており、これまで様々な世代の方にご利用いただきました。主なお客様の世代は20代ですが、30代、40代の方もその次に多くご利用いただいております。

大体30代半ば辺りまで氷河期の影響が残り、30代後半~40代前半がど真ん中氷河期世代なのでしょうが、その世代のお客様って、一人旅の方も何だか達観したようなオーラがあったり、バイク乗りだとさすらいのライダーって感じの方が多いんですよね。すごく良い人なのにどこかとっつきにくく、どこか寂しそう。報われない人生を頑張ってる感凄い(笑)。

ゲストハウスだからそういった雰囲気の方が他より多く集うからとか、バイク乗りだからという事というのを差し引いても、俺達氷河期って何となくそんな雰囲気持ってますよね。

俺達氷河期が言われ続けた事

小さい頃俺達は、良い大学に行って、良い会社に入れば安泰。公務員なんて最高!先々楽をしたければ、今ツラい思いをしとかないと楽になれない、なんて教えられて、俺達も本気でそう思ってたんですからね。

頑張って勉強して大学出て就職して、25位で結婚して、30位で子供2人いて、ちょっと出世したら35年ローン組んでマイホームを持ったら一人前なんて本気で信じていた。

結局40の声が聞こえ始め、体にもガタが来はじめ、酒に弱くなり(笑)、頑張れば楽になれると言われたのに、楽になっているのは上の世代ばっかりで自分達は一つも楽になれず、下の世代は自由で色々な価値観を持ってて楽しそうでコッチの事なんか1世代前のおっさん扱い。
あぁ、なんで俺はこんなになっちまったんだろう、って思いません?

世界のニュース、日本のニュースを見ても、何をどう考えても未来に希望なんて1ミリも無さそう。これでも頑張れと?

昔の価値観で下の世代にツケを押し付けてきた戦後日本の一番の被害者ですよね。

これが20代のお客様になると、まあ可能性に満ち溢れてるなぁ、って感じがするんですよ。ITを使いこなし、まだ若いのに色んな事知ってるし。俺達氷河期が持ってた価値観なんてとっくに無くなってて、色んな事考えてるし。社会にとらわれず、逆に利用してやるくらいの勢いで正直羨ましい。

「ゆとり」とか言って平成生まれをバカにしてた10年前の俺達を殴りたい気分ですよ。間違いなくこれからの日本を変えてくれるのは、彼らゆとり世代、ミレニアル世代です。

昭和世代は認めたくないでしょうが、勝ち目ありません。彼らのネットリテラシーハンパないし、既にネットの時代ですからもう彼ら平成生まれの時代ですよ。

氷河期の特徴

それでも氷河期世代って、文句言いませんよね。他人にも厳しいけど、自分にも厳しい。
今、そんな世代が出世して部下を持つようになって、若い部下たちは困ってるそうな。氷河期世代が部下だった時代、団塊世代やバブル世代の上司のだらしなさや時代に付いていけてない言動に困ったように、ミレニアル世代は厳しい氷河期世代の上司に困っているようですよ(笑)。しかもあの時代のサバイバーだから、なまじ仕事出来るから反論も出来ない(笑)。氷河期面倒くせー!

誰も助けてくれない、誰にも頼れない、でも昭和的な価値観である、「俺だけ勝手な事をやる訳にはいかない」という呪詛に縛られ、お先真っ暗なのに夢が見れるような気がしてひたすら頑張る。そんな状況で氷河期以降を一人でサバイブしてきた世代ですからね。大概の事では動じないし、他人にも「俺が出来るんだから出来るはずだ」と押しつけますよね。
怒られて怒られて伸びた世代なんで、褒められて伸びるとか意味が分からない。たまに褒められると、コイツ何が目的だ?バカにしてんのか?とすら思う。
この辺がパワハラが生じる土壌になってるのかもしれませんね。

昭和の価値観を共有した最後の世代だが、ITにも早くから馴染んだ世代

まだ古い価値観のままで働く氷河期世代がほとんどだと思います。自分の周りにも沢山います。私も30過ぎまではそんな価値観のままでした。でも毎日あくせく働く中で、
「俺小さい頃からずっと我慢してきた。先々困るから今頑張れって。何か失敗すれば努力が足りないって怒られて褒められた事なんて無かった。でもその楽になる先々っていつ来るんだよ?俺もう中年だぞ?体ガタガタだし、60まで元気でいられる気がしない。これ以上頑張ってどうすんだよ?」って思っちゃったんですよね。

私が30代になった頃は、既に今のようなネット環境が整いはじめ、ブログが盛んになりネットを使った新たな生き方を模索する人(FXとかアフィリエイトが盛んになりはじめたのもこの頃)が増え、インフルエンサーなんて人達が出始めで、私はすっかりそういったSNSやブログから影響され、もう好きに生きようと思い、働いているウチから着々と準備し、まだ時期尚早だったけど身体を壊した事を切っ掛けに、社会から「一抜けた」して今ゲストハウスオーナーとなりました。

2011年の大震災からも若者の価値観がガラッと変わった感ありましたしね。

私がプー太郎になった1999年、当時19歳、あの時今みたいなインターネットがあったらどれだけ救われたか。
当時は仕事をしてないと人間扱いされなくて、オヤジには「ルンペンみたいな生活しやがって」と怒られてました。自分でも無職っていうのがなんだか落ち着かなくて、夕方に車で帰宅ラッシュに混ざって走ってたとき、「おれもこの車列に毎日混ざって通勤したい。早く仕事見つけないと」って本気で思ったんです。あくせく仕事する自分の姿が理想だったんです。
平成生まれの皆さん信じられます?無職って生きた心地がしなかったんですよ。

いや当時だってインターネットやってましたよ。NECのPC-9821ってパソコンで、通信速度14,400bpsのモデムで、ピーギャラギャラとFAXみたいな音たててダイヤルアップでやってました。

でも当時は今みたいに誰でもサイト作れる時代じゃ無くて、ホームページ作るにもHTMLの知識が必要っていう時代。何も有益な情報なんか無かったですけどね。2ちゃんねるとエロ画像しか見てなかった気がしますが(笑)。そのエロ画像だって、小さい物が表示されるまで1分くらいかかってたっけ。

そんなインターネットなんて何の役にもたたねぇ(笑)!
でもその時プログラミングとかHTMLとかマスターしてPCとかネットに詳しくなってれば、今頃IT社長だったかな?なんて(笑)。結局何もしなかったのは自分って事ですね。
でもそんな事して一人で起業しようなんて意識無かったですから。起業なんて一握りのエリートがやる事でギャンブルみたいなもん、自分とは違う世界だと思ってましたもん。

本当、10代の子が起業を考えるのが当たり前のような今の世の中はマジで羨ましい!

Don’t trust over 30 は本当だった

前から一つ思う事があるんです。
「10年早く生まれるか、10年遅く生まれたかった。」

大正生まれは青春時代のほとんどを戦争に費やして、戦後も高度成長の主役として馬車馬のように働いた。とても苦労した世代だったと聞きます。そこまで高尚なものではありませんが、氷河期世代も似たようなもんかな、なんて思います。
こういう事を書くと、団塊こそツラかった、バブルだって苦労したなんて意見が出そうですが、そりゃ人によっちゃ苦労したでしょう。色々比較したら大変だった面も多いと思います。でも希望にあふれた時代があったでしょう?俺達だって大人数でフォークソング歌って火炎瓶投げてみたかったですよ(笑)。FXとかCBXを直管にして、大人数で夜の国道を暴走してみたかったですよ(笑)。そういうの氷河期にはほとんど無かったんですから。

10年早かったらバブルを謳歌できました。10年遅かったら今の若者と同じ価値観で生きていけました。インターネットには希望が溢れている感じがします。今の若い子はポケベルじゃ無くてスマホですよ?こんなに羨ましい事ありません。それなら私も20代でゲストハウス開業してたかもしれません。してないか。

しかし氷河期に生まれてしまった。誰のせいでもありません。仏教的に考えるなら、何か意味があってここに生まれたんですから。

世の中の価値観なんて気にする必要なんてなかったんです。人間の予想なんて当たるわけないんですよ。
「Don’t trust anyone over thirty.」ロックやパンクをかじった人間ならお馴染みのフレーズです。大人は信じるな、みたいなモラトリアム的なカッコつけた言葉程度にしか理解してませんでしたが、コレ本当だったんですね(笑)。
例えば株だってFXだって勝ち続けている人はほとんどいません。もっと短期的な事、例えば今場所どの力士が優勝するか、オリンピックで誰が金メダル取るか、そんな事すらほとんどの人達は当てられないんです。そんな人達が言っている「先々楽になるから今頑張れ」なんて予想、信じちゃいけなかった。

誰のせいにもしません。仕方ない事です。でも一つだけ後悔しているのは、そういうの20代で気づきたかった。20代のウチに、こういう見通し立てたかった。20代の時に、「○○のホームページ キリ番ゲットはBBSにカキコ」なんてサイトじゃなくてブログが欲しかった。悪い事を教えてくれるアングラサイトじゃ無くて、何かタメになる事を示してくれるインフルエンサーが欲しかった。mixi、モバゲーじゃなくてtwitter、instagramが欲しかった。役に立ったのは、今でも評判の悪い2ちゃんねるくらいかなぁ。アレ?他人のせいにしまくりだな(笑)。

その頃起業し、死にもの狂いで頑張った方々が、今のITトップの方々なのでしょう。私だってその90年代の黎明期に既にネットをやっていた。なのに私が何もしなかったから、今後悔してるわけなんです。

当時の30代以上は、インターネットそのものを知らなかった。そんな世の中で育てられたから、私たちもこれからはネットの時代だよ、なんて誰も思ってなかった。自分だって思ってなかった。宮崎勉みたいなオタクがやる物って意識が多大にあった。

でも目の前にはちゃんとインターネットがあった。ヤフーもグーグルも2ちゃんも既にあった。エロ画像を検索しマスクを外し、2ちゃんやアングラサイトで悪い事を覚え、割れだの多段串だの尻だの、交通違反のもみ消し方だの覚醒剤とか爆弾の作り方なんかを見て、すげー、犯罪だけどネットって何でもできるな、って感じたのに、それを活かせなかった(犯罪で金を稼ぐとかじゃなくて、そういう可能性のある物を使っていこうという意識って意味ですよ)。誰のせいでもない、自分のせいですね。

氷河期世代は昭和の価値観は捨てて、戻りましょう、モラトリアムに(笑)。

昭和世代vs平成世代の冷戦の中で氷河期の立ち位置とは

今、世の中は旧態依然とした昭和世代と、ミレニアル世代だのジェネレーションZだの呼ばれる平成世代との静かな戦争のように感じます。
ネットにも詳しいが昭和世代の価値観にも縛られる私たち氷河期世代は、「お前らどっちに付くんだ?」と試されているようでなりません。

昭和世代についても下っ端、若者世代についても若者に教えを乞う下っ端、どちらにせよ苦汁をなめますね。

新たな時代の狭間で試される氷河期世代。あー本当に「10年早く生まれるか、10年遅く生まれたかった。」(笑)。